プラナー120/5.6

注文していたハッセルのアキュート・マット(インテンスクリーン)が昨夜届いた。早速標準マットから換装してファインダーを覗いてみた。夜の室内でもまったく不安を覚えないほど明るい。これならばピント出しは楽になるし、精度も上がることだろう。以前にもブログで書いたがファインダーの駄目なカメラはいくら高性能であっても好きになれない。逆に他の性能がいまいちでもファインダーさえ優秀ならば多少のマイナスには目をつぶることが出来る。オート・フォーカスであればファインダー性能などさほど気にしなくともきっちりしたピンの写真を撮る事が出来る。だが、見えにくいそれは撮る意欲を削いでしまうのも事実だ。一般に明るいスクリーンは明るいレンズに向いており、暗いレンズの場合は却ってピント出しが難しくなる。理屈は分かるが35mmのフォーマットでなく6x6の大きさならばプラナー120/5.6などでも何とかなるだろう。レンズというのは不思議なもので明るい大口径のものの方が高価であることが普通なのだが、それは新品での価格の話。このプラナー120/5.6はその後に出された解放値が明るいレンズよりも今では価格が高い。製造台数とかの要素よりも発色や描写が旧モデルの方が評価されての結果だ。確かにこのプラナーは只者ではない。空の青の青さ、空気感、距離感、厚さなどなど表現しきれないくらいの絵を吐き出す。単に解像感が高いとかの話ではないのだ。そういった数字的なこととはまったく違う次元なのだ。見た者の想像力とか感覚とかを駆り立てる絵を作ってしまうレンズなのだ。ツァイスが神の目だの世界一美しいウソをつくレンズなどと形容される理由が分かる一本である。