2010-04-01から1ヶ月間の記事一覧

夢カメラ

物事を始めるにあたつて形から入る人がある。僕もその一人である。最初にカメラを買つたのはオリンパスのOM-1だつた。中学生の時でアルバイトしたお金を吐き出して買つた。50mmのレンズ1本だけで満足だつた。もつともその頃はまだレンズに広角や望遠がある…

オミナエシ

オミナエシといふ花がある。漢字では女郎花と表記する。黄色い小さな花をつけるのだが女郎と名乗るほど妖しくもなければ華やかでもない。また恐ろしさも感じない。オトコエシといふのもあつてこちらは男郎花となる。菜の花も同じ黄色い花をつけるがこちらの…

道楽

道楽といふものはどの道にもありさうである。「普請道楽」といふ言葉がある。落語の「牛ほめ」といふ話である。新築したおじさんの元へ与太郎が訪ねて行き、その家を誉めるという内容なのだがそこは落語である。お父つあんから教わつた誉め言葉を与太郎がそ…

慶次郎縁側日記

佐々木譲の小説を一休みして今は北原亜以子の「慶次郎縁側日記」を読んでゐる。氏の本を読むのは初めてである。慣れない文体に少々梃子摺る箇所もあるがそれはこつちの読解力の不足といふものだらう。内容は江戸定町廻りを引退した50手前の男が主人公である…

老ひ行く目と付き合ふ

加齢とともに体のあちこちが痛んでくるのは仕方のないことである。判つてはゐるものの慣れるまでには相当の時間を要する。すつかりあきらめたつもりになつても時には思ふやうにならない自分に苛立つこともある。僕の場合は先ず目がいけない。元々近視と乱視…

「悋気は女の慎むところ、疝気は男の痛むところ」

「釣つた魚に餌をやらない」といふ言葉がある。釣り上げるまでは知恵を絞つて工夫して何とか魚を釣らうとする。だが、いざ釣り上げてしまふとその後は興味の対象が次の獲物に移つてしまつて得た魚には見向きもしなくなる。当然のことながら魚は比喩である。…

嫌いな音

僕は我侭な性格である。それに加へて好き嫌いが多い。食べ物の好みもさうだが特に音には拘る。自分で言ふのもなんだがかなり耳の性能は優れてゐると思ふ。だから嫌いな音は小さな音量であつても気に障る。ましてやそれが大音量だつたりすれば神経症になりさ…

偏執狂的本の読み方

何かのきつかけから興味を持ち始めるといふことは良くある事である。そしてそれが気に入るととことんのめり込む。僕の場合は音楽や本(小説やエツセイなど)にさういつた傾向が強くある。きつかけとなるのは多くの場合ラジオからの情報である。例へば確か小…

遊べるコンデジ

コンデジの開発競争は相変はらず激しいものがある。高画素化、防水、耐衝撃など各社とも差別化をはかつてユーザーの購買意欲に訴へる。新機種が投入されるスパンも一眼に比べてかなり早く、あつといふ間に型落ち、値崩れ現象がおこる。銀塩では古いカメラを…

本の行方

久方ぶりに近所の古本屋に行つた。実は此処に寄るにはある覚悟を持つて行かなければならなゐのだ。目当ての本を探し出した後、店主との話が必ず長くなるのだ。昨夜もおよそ1時間半おしやべりをしてきた。古本といふ割と好事家の集まる商売人との話は、当たり…

ほんの少しの希望

此処のところ動物に関する厭なニユースが多い。針金を胴体に巻かれた犬、腹にボーガンの矢が突き刺さつた鹿、角を折られた山羊、そして今度は荼毘にふされた筈のペツトの死体遺棄。100匹近くと大量であることから恐らくはペツト葬祭業者の犯行と思はれる。何…

高所

先日、東京タワーに替わつて東京スカイ・ツリーが高さ日本一になつた。串田孫一氏の言葉に「人は高い所に上ると頭上に広がる大空を見ずに下を見るのは何故だらう」といつた内容のものがある。なるほどさう言はれてみればその通りである。高い所に身を置けば…

カレンダー

月が替はりカレンダーを捲つた。保険会社から貰つたそれは表に何処かの風景写真が印刷されてをり、裏は真白で厚手の紙で出来てゐる。一月を勤め上げ、お役ご免となつた後、それは次にメモ用紙として再利用される。半分に折つてナイフで裁断しながら今読んで…