帯久

都知事が有名な医療法人から金五千万円を借り受けた。他人から金を借りたら金利ありさうなものだが、都知事曰く、すぐに返すつもりだつたので金利は考へなかつた。借りたらば返すのは当然だし、期間の長短は金利のあるなしに関係ない。この話が報道されて落語の「帯久」が頭に浮かんだ。売れず屋と陰口を叩かれる帯屋久七が同業者に金を借りるのだが、二十日ほどで返す。しばらくすると前回よりも多目の金額を借りる。そしてまたまた二十日ほどで返す。そんなことが繰り返されて最後に百両借りたのだが、これはすぐに返済されなかつた。大晦日に売れず屋はこの金を返しに来るのだが、初売りの準備やらお武家様やらの来客があつて返してもらつた金を仕舞はずに売れず屋を残して部屋から出て行つたのが運のつき。部屋に残された売れず屋は金をそのまま持つて帰つてしまつた。
話はこの先から面白くなるのだが、割愛させて頂く。さて、無利子で返済期限もなく、貸した方が強制調査などを受けて浮き足立つてゐるタイミングで返したやうだが、都知事殿はまさか落語と同じぢやあありませんよね。