ワン・ショット

写真を撮り、上がってきたポジやプリントを見ると撮影者の性格が分る。性格といっても大雑把なものでしかないのだが・・・。大胆な性格であるとか、几帳面な性格であるとかは比較的分りやすい。対象となる被写体をどうフィルムの中に収めるか。大胆な人はテーマの見せ方も大胆だ。現像やプリントをお願いしている写真館の人に言わせると、僕の写真は女性的らしい。(実際はもっとひどい言い方をされているのだが) 僕は俳句についてど素人だが、写真はよく俳句に似ていると言われる。不必要なものをそぎ落とし、必要最小限の副題を空間に散りばめ主題をその中に置き浮かび上がらせる。簡にして要を得たということであろうか。 ここ1,2年でかなり老眼が進みライカ判での撮影が厳しくなってきた。普段の生活でも遠近両用眼鏡のお世話になっている。最近は35mmは防湿庫の中で開店休業。専ら中判でルーペを覗きながら撮影を楽しんでいる。6x6、6x8での撮影は機材が大きく重いため機動力には欠けるが、その分レンズを1本に絞込み出かけるようにしている。今までは使いもしないレンズを何本も持って出かけていた。勝負レンズ?1本で撮影に望むのは最初心もとなかった。心配で仕方なかった。いい被写体に出会うと「あのレンズを持ってくれば良かった」と何度も思った。だが人間は慣れるもので今ではこのスタイルの方が心地いい。不良ジイサンの敬称を持っていた稲見一良という好きな作家がいた。彼の作品の中に鴨撃ちの話があった。散弾銃を使わず単発の銃で鴨を撃つハンターの話である。1発で仕留められなければ鴨の勝ち。その潔さがほんの少しだけ分るようなつもりになっている今日この頃である。