自産自消

餃子問題が解決しないまま今度は劇薬入り冷凍食品で被害者が出た。今の時期何も冷凍でなくてもインゲンは買えるのだが、買う側にも色々事情があるのだろう。だから中国原産の冷凍食品を買う人間が悪いとは言わない。だが、手軽、便利、安価を追い求めた結果、日本人は本来自前で作ってきたものを捨て、金で他国に作らせたモノを買うスタイルになってしまった。先月貿易黒字が赤字に転落したらしい。外国から買えなくなる前にそろそろ本腰を入れて自産自消(こういう言葉はない。自給自足が本来の言葉だが、あえて産という字を使いたかったため)の国になるべきだろう。話は少し変わるが、昨日八百屋で買い物をした。店内には野菜から果物までところ狭しと様々な商品が並べられている。どれにも商品名と価格が記されている。例えば《嬬恋産 キャベツ ¥150-》など。人間の脳というのは面白いものでどういう因果関係があるのかは分からないが、ふとおかしな事を考えたり、気付いたりする事がある。その時、僕が思ったのは、「もしもこの商品名が書かれた札がなかったとしたら」だった。商品と値段だけだったらどうなるのか?キャベツやナス、きゅうり、ニンジンなどはポピュラーな野菜なので名前と値段で買い物をすることは可能だ。だが、産地表示がないと安いから外国産なのか、それよりも高いから国産なのかまでは分からない。人によっては商品だけを見ても名前が分からないということもあるのではないか?逆に札にそうかいてあるからキャベツをキャベツとして認識するということも可能性としてはある。面白くするために誇張された話なのだろうが、まるのままの魚を見たことが無い子供は、魚は切り身のまま泳いでいると信じているなんて話もある。産地と消費者の間にある差は地理的な距離だけではない。むしろ物理的な距離は交通機関や冷凍技術の発達によって短くなっている。だが、反対に作り手と買い手の間には、何も育たない荒涼とした地が広がってしまったような気がする。