SAAB破綻

スウェーデンの自動車メーカーであるSAAB社が経営破綻したというニュースが飛び込んできた。僕は生来メカに弱いメカ好きで車だのカメラだので随分と道楽をしてきた。新車よりは中古車の方が多いが、買った車は30台ではきかない。まだ免許を取って30年経っていないので1年に1台の割合で車を乗り継いできた計算になる。サニーや1BOX,ベンツ560、BMW750,センチュリーといった所謂高級車まで多種多様な車を買った。中でも好印象が残っているのは三菱のギャランVR4とSAABだ。ギャランはある日突然2速に入ったままギア抜けしてしまい、手放した。走る、曲がる、停まるといった車の基本が実にキビキビとしており、乗ることが楽しい車だった。SAABを買った理由はベンツやBMWまで手が届かなかったという単純なものだ。地味な車だが、コスト・パフォーマンスに優れており、革シートやサン・ルーフなどのオプションを付けてもベンツやBMWよりも安い価格で買えた。独特のマスクとスタイルには好き嫌いが分かれるだろうが、僕は結構気に入っていた。SAABは愚直なまでに真面目に作られた車だった。ドイツの高級車に較べたら安いとはいってもそれなりの価格はする。だが、値段に納得出来る作りの良さが随所にあった。社内の密閉性、空調、シートの作りの良さなど数え上げればきりがない。カタログ数値の上では大したことのない車なのだが使ってみると実に心地いい。数値では表せない部分に手間とお金をかけている。耐久性や燃費など国産車には到底敵わないがそれでも余りある魅力を持った車だった。チャンスがあればまたいつか乗りたいと思っていたのだが世界規模の不況の波に飲まれてしまったようだ。SAABはこれから再生への険しい道を進むことになる。万が一再生が叶わなくてもどうかSAABの車文化、車哲学といったものは何処かで生き続けて欲しいと願う。歴史の中に葬ったままにするにはあまりにももったいない。