ぞつとする・ぞつとしない

気象庁がつひに温暖化を認めるやうな発表をした。脚本家の倉本聡に言はせると温暖化は間違いで高温化だそうだ。確かに温暖などと悠長なことは言つてゐられないやうな今夏ではある。9月に入つても暑さはその手を緩める気配がない。以前は夏場にはテレビで怪談を放送して身の毛もよだつ怖さで暑さを一時でも和らげる企画もあつたのだが、最近ではやらないのだらうか。さて、人は恐ろしさを感じたりした時に「ぞつとする」、「ぞつとした」といふ言葉を使う。この「ぞつと」だが、「ぞつとしない」といふ使い方もある。意味は感心しないとかであつて決して怖くないといふ意味ではない。僕はこの「ぞつとしない」に随分と違和感を感じるのである。会話ではあまり使はれない言葉なのだらうが、小説や新聞では時々見かけることがある。きつとしつくりくるやうな使い方はあるのだらうが、未だかつてさういつた上手な使い方は目にした事が無く、敢てこの言葉を使つた意図を量りかねることばかりである。日本語は難しく同じ言葉が真反対の意味で使はれる場合も多い。適当といふ言葉は本来適切に当てはまるなのだが会話になると「適当なことを言つてらあ」などとまるで反対の意味になつてしまふ。同じやうな使はれ方にいい加減といふのもある。ところでこの連日の暑さ、いい加減におさまつてもらへないだらうか。