再会

確か7月だつたと思ふ。自宅前の公園で女の子達が生まれて間もないと思はれる子猫を連れて遊びに来て居た。全身真っ白で頭に一箇所、うつすらと薄墨を流した様な模様がある猫だつた。彼女達に話を聞くと林の中に捨てられていたのだとのことだつた。何匹か捨てられていた猫を拾つて来て手分けして貰つてくれる人を探し、残つたのがその白猫なのだつた。僕は少しの時間、その猫を抱かせてもらつた。小さい体、みやーみやー泣く声、暖かい体温。小さいけれど確実に生きてゐる命を感じた。その猫とはその日限り会ふことはなかつたのだが、今日自転車に乗つて近所を走つていたら白い猫が僕の前を横切つた。頭に薄墨を流した模様の猫だつた。二ヶ月でだいぶ大きくなつてはいたが、それでもまで大人にはなつていない。間違いなくあの猫だ。誰かに飼はれたのか、それとも野良として暮らす身なのかは分からないが、元気さうな姿を見てほつとし、嬉しくなつた。