雑感 二題

自分では読書をする方だと思つてゐる。そこそこの数の知識もあるのではと思ふのだが、それでも時たま全く知らない言葉や使ひ方に出くわす。今朝のサンケイエクスプレス【次代への名言】の中でこんな文があつた。「さらにこの偉大なる国民作家は、敬愛をおくあたわない産経新聞社の大先輩でもある」問題は敬愛をおくあたわないの一節である。あたわないは能うの否定なのだとは分かるのだが、敬愛をおくあたわないと続ける文は未だかつて見たことがない。僕が知らないだけなのだらうが、何かしつくりこない言ひ回しに思へる。僕は知らない言葉や使ひ方に出会ふと感心する素直な気持ちは持つてゐる。ケチをつけるつもりはないのだが、この一文には何故か違和感しか感じられなかつた。★何時の世でも若い人を親父世代は理解出来ない。若者音楽しかり、フアツシオンしかり、夢中になるものしかり。僕はこれはとても正常なこと、世の中が健全なことだと思ふ。若い奴等が音楽で毒を吐くのは当たり前である。雛が孵化するために卵を打ち破るのと同じではないかと考へる。だから親父達は眉間に皺を寄せながら「子供のくせに」とか「ガキが生意気な」と
感情的に対立するのは悪くない。繰り返すが至極まともである。ところが、昨今は如何なものか。若い奴等の歌の歌詞はやさしさだの頑張らうだのばかりである。うんざりすると共に何か薄気味悪さを感じてしまふ。若者をすべて否定するつもりはない。それでも大の大人がそんな歌に癒されるといふのには驚かされる。思考や文化は時代によつて変化するのは当然だらうが、今時の若者の物分りの良さやエネルギー不足には失望してしまふのは僕だけだらうか。