フイルム事情

写真を撮るといふ行為に駆られる衝動には幾つも動機がある。写欲をそそる場面や場所に出くわしたならば自然とカメラのシヤツターに指が掛かる。デジタル・カメラならばSDカードなどのフイルムに当たるものと電池が必要だし、フイルム・カメラならば最低でもフイルムが必要になる。ところがこのフイルムが今では入手が難しい。現地に行つて調達なんてことがなかなか出来ないのが現実だ。その場でデジタル・データをプリントしてくれる大手量販店ではそこそこ揃へてくれてはゐる。だが、個人店ではフイルムの種類も数も少なく、壊滅的状況にある。高価な現像・プリント機器を持たないからこそフイルムに重きを置いて営業すべきではと素人は考へてしまふが、消費期限があつて需要が少ないフイルムなんぞは仕入れればロスになるのが落ちなのだらう。僕は今ではライカ判は殆ど使はず、専らブローニーばかりである。つまりもつと入手困難なわけだ。ある場所でフイルム有りますといふ張り紙を見てその店に入つたが、あるのはライカ判のフイルムが二本だけで、その横にはSDカードがズラリと並んでゐた。がつかりしたのは言ふまでもない。