映画3題


先週は「デンジヤラス・ラン」(D・ワシントン)、今週は「天地明察」「鍵泥棒のメソツド」を観た。「デンジヤラス・ラン」はそこそこ楽しめる娯楽映画だつた。が、それ以上の感想も特に無い。時間潰しにはいいんじやないの程度のものだつた。「天地明察」、上映時間の長い映画だが、これは楽しめた。脇を固める俳優陣もいいのだが、何と言つても主演の岡田がいい。アイドルが映画やドラマに出たりすることは沢山あるが、彼はきちんと根が張つた演技が出来てゐると感じる。内容は囲碁打ち侍の安井(岡田)が我が国独自の暦を作るお役を仰せつかるといふ話である。僕は囲碁も天文もまるで分からないのだが、その辺の専門知識が全くなくても楽しめるやうになつてゐる。お勧めの一本だ。「鍵泥棒のメソツド」、僕の好きな監督である内田ケンジの最新作。実に上手な脚本を書くことで定評がある人だ。「運命じやない人」「アフター・スクール」ではその脚本の妙で楽しめたのだが、今回の映画はその手法が幾分抑へられてゐる。観終はつた後の「今回もやられた」といふ感想がないのはそのため。内田ケンジらしさがなくなつたとも言へなくもない。脚本よりも役者の演技に重きを置いた作りになつてゐるとやうに見受けられた。本の仕掛けは以前に比較して少ないものの楽しめる映画に仕上がつてはゐる。内田作品入門用としてお勧め。「鍵泥棒〜」「アフター・スクール」「運命じやない人」の順番で観ると内田ワールドを最も楽しめるのではと思ふ。