「黄金を抱いて翔べ」「のぼうの城」「最強のふたり」

暇があれば映画を観に行く。先週は「黄金を抱いて翔べ」「のぼうの城」「最強のふたり」の三本を観た。先ずは「黄金を〜」から。井筒監督の映画を観るのは初めて。「パッチギ」などで評判になつたのは知つてゐたが、当時あまり食指が動かなかつた。性格が偏屈だからか、わあわあ人が騒ぎ立てるものにはそつぽを向きたくなる。で、今回が初対面?初対決になつた。
公開前に井筒監督がラジオ出演した番組を聞いてゐたが、この映画に関する事前情報は殆どないままで観に行つた。知つてゐるのは原作があつたことくらい。さて、映画の感想ですが、楽しめるでもなく、泣けるでもなく、お勧め出来る映画ではありません。原作に惚れて映画にしたとのことですが、作りが粗過ぎます。話は銀行の地下に眠る金塊強奪譚。その強奪のシーンに力を入れたとも思へず、主人公達の人間性や過去を掘り下げて描くでもなく。妻夫木聡は少年時代に自宅(教会)に放火したことがあるのですが、彼が何故そこまで思ひつめてそんな行動をとつたのか、成長してからの左翼との関係などどれもが荒削りです。きつと原作ではその辺りの描写がもつと描かれてゐるのだらうと思ひます。(僕は未読ですが・・・)共犯者のモモタロウも同様で彼の引きずつてゐる境遇や過去、現在の置かれてゐる状況などの連絡性が分かり難く感じられた。登場人物の過去を織り交ぜ、その人の人間性を浮かび上がらせるといふ方法を取りながら中途半端になつてしまつたやうです。浅野忠信にはその手法が全く取られず
画面の中で動き回る彼の姿からしか彼の人物像を推し量るしかないのですが、家族を殺されてオロオロする場面はgoodですが、その後の彼があまりにも淡々としてゐる姿には違和感を覚へます。僕の採点では十点満点中☆☆☆☆といつた辛口になりました。
のぼうの城」まさに野村万斎のためだけに作つた映画といふ感想です。これも人物が描けてません。(登場人物が多く制約があるのは分かりますが)政治的には使ひモノにならずでくのぼうのでくを略してのぼう様と呼ばれる実在した人物の話ですが、人々に愛され〜人を引き付ける魅力があり〜といつた部分が端折られてしまつた感があります。見所は野村万斎の狂言で鳴らした動きだけかなといつた感想です。☆☆☆☆の採点です。
最強のふたり」僕の好きなヨーロツパ映画です。ネタバレになるし、僕の下手な文で紹介するよりも先ず観て下さい。お薦めです。☆☆☆☆☆☆☆☆☆