古御岳


朝六時。前日からの雨がほんの少し残つてゐて、はて、山の天気はどんなだらう?と心配したが、杞憂であつた。支度をして十時に子の権現の駐車場に着くと
多少ガスがかかつてはゐるものの雨は大丈夫さうだ。お参りをして出発。お寺の脇道を抜け、登山道に入る。今日は天目指峠から中ノ沢ノ頭、高畑山、古御岳、伊豆ヶ岳のルートだ。歩き始めてすぐの下りでうつかり足を滑らせ、大きめな石の上に尻餅をつき、尾てい骨を強かに打つ。まるで達磨落としのやうな落ち方だつた。スタート地点である子の権現がおよそ630Mで第一通過ポイントの天目指峠は490M。140M下ることになるのだが、その初つ端でやらかしてしまつた。
痛みはそれほどでもなく、歩くことに支障はないやうなので気をとりなおして進む。昭文社の地図には天目指峠まで40分と標準時間が書かれてゐるが、僕は鈍足なので1時間かかつた。次のポイントは中ノ沢ノ頭(622.7M)だ。下りて来た分そのまま今度は登る感じだ。標識だけで展望もない場所なので長居はせず次の高畑山を目指す。凡そ70Mの上りだ。40分ほど歩き、高畑山(627M)に到着。ここも同じく展望がなく、案内板のみ。ここで長めの休憩と昼食にする。その後、古御岳に行くべきか、戻るべきかを考へる。なんとかなるだらうとの安易な考で1時間ほどで古御岳に到着。伊豆ヶ岳まではここから30分ほどだが、時刻は2時半。標準で140分ほどの距離を途中の休憩、昼食があつたにしても200分以上かけてゐる。同じペースで歩くとしてもスタート地点に戻るのは6時になる。山でなくても真つ暗な時間だ。高畑山で引き返すべきだつたことに遅まきながら気付く。ハイ・ペースで下山。暗くなるにつれて山の斜面を走る獣のドサツドサツといふ音や泣き声が増してくる。熊鈴を喧しいほど鳴らさないと不安で仕方ない。何とか子の権現に到着した時は辺りは霧と夕闇に覆われてへツド・ランプなしには歩けないほど。早出早着。山の基本を改めて実感した山歩きだつた。