カミキリムシ

子供の頃、夏になると男の子は決まってカブトムシやクワガタムシを探しに山や林へ早朝から出かけていったものだ。自分しか知らない(実際は本人がそう思っているだけなんだろうが)秘密の木があってその木で件の虫を捕まえるとことが出来るとそれは嬉しかった。一般にはカブトムシとクワガタムシではカブトムシの方が格が上のように思われているが、へそ曲がりの僕はクワガタムシの方が好きだった。まだ少しひんやりした空気の中、薮蚊に刺されながらも木の幹から流れる樹液に群がる虫を捕ることに夢中になった。時々毛色の変わったところでカミキリムシを捕まえることある。主に黒地に白い模様のゴマダラカミキリが多かったように記憶している。このゴマダラカミキリなのだが、ついこの間自宅の白樺の木にいるのを発見した。よくよく見ると若い枝の皮を剥いたように食い散らかしているではないか!今年はどうも白樺の元気がなさそうだとは感じていた。ネットでゴマダラカミキリを調べてみるととんでもない悪党である。最終的には木を枯らせてしまうほど徹底した害虫とのこと。調べた内容を元に木の幹の根元を観察してみると土の上には木屑、幹にはドリルで開けたような数個の穴がある。幹の中で産卵したものが孵ってここから出てきたらしい。幹の中に巣食う害虫の駆除はかなり困難らしいことも分った。バイオリサカミキリという木にも人にも無害な駆除商品があるのだが、元々果樹園や造園業者用に作っているものらしく一般のホームセンターなどには卸してないらしい。一般の人も買えない訳ではないのだが1箱に100個も入っているのでは持て余してしまう。別にお金を貰った訳ではないので宣伝するつもりはないのだが、このバイオリサカミキリの製造をしているのが出光。アグリバイオ事業部というところで開発したものらしい。
無知を知らしめるようで恥ずかしいが僕など出光というとガソリン以外思い浮かばない。害虫駆除の商品を作っていると知ってびっくりした。話を僕のカミキリ退治に戻すと、結局ボロ布にスミチオンを染み込ませて開けられてしまった穴に栓をしておいた。これで同じ穴からは多分後続部隊のカミキリは出てこない予定。巧くすればその薬品がカミキリの幼虫どもを死滅させてくれるかもしれない。悪くすれば奴らは他に穴を開けて出てきてまたぞろ白樺を齧るのだろう。ここのところ毎朝起きてから白樺の根元の観察が日課となった。