こどもの国 にっぽん

僕は長いこと喫煙者である。何時頃からかタバコのパッケージには《喫煙は、あなたにとって肺気腫を悪化させる危険性を高めます。》《未成年者の喫煙は、健康に対する悪影響やたばこへの依存をより強めます。周りの人から勧められても決して吸ってはいけません。》という注意書きがプリントされるようになった。タバコの他にも世の中は注意書きだらけだ。そしてその内容は昔だったら当たり前だろう、と誰もが思うようなものばかりだ。《未成年の飲酒は法律で禁じられています》《万引きは犯罪です》
《ポイ捨て禁止》などなど。文字だけではなく駅では《電車が参ります。白線の内側でお待ち下さい》デパートやスーパーでは《エスカレーターにお乗りの際は・・・》と音声で注意を促す。これらは一体誰のための注意なんだろうか?大人はタバコのリスクを承知でタバコを呑む。万引きが犯罪だということも常識だ。走行中のバスや電車の窓から手や顔を出せば危険なのも当たり前。知らなかったことなど何一つない。それでも文字や音声による注意はそこら中に溢れている。何故なんだろう?何のためなんだろう?大人に向けての注意の発信でなければ子供へのメッセージということになる。商品やサービスを提供する側はユーザーや消費者を子供であると認識しているのだろう。だから当たり前の事を繰り返し注意し続ける。相手が子供なのだから企業としてはバカ臭いと思ってもやらなければならない。何故なら「そんなこといちいち言われなくっても分かるだろう」と高をくくっていると子供は「それならそうとちゃんと説明してくれればこんなことにはならなかった」などと言い出すからだ。そして悪知恵のついた子供達は損害賠償などに訴える。企業はそれに備えてあのようなバカバカしい注意書きを包材にプリントする。然しこれも決して大人のやり方には思えない。何故ならば子供が使う「いつ、何時何分、何曜日にそんなこと言った」に対する防御であるからだ。こうすることによって企業は子供からの理不尽な攻撃からは身を守ることが出来るだろう。だが供給者と需要者の関係はこれでいいのだろうか?エスカレートしていけば魚には「骨が喉にささることがあります。注意して食べてください」硬い煎餅には「歯の弱い人は歯が損傷する恐れがあります」正月の餅には「毎年○○人のお年寄りが喉に餅を詰まらせて亡くなっています」金銭消費貸借では「あなたの家庭や人生を崩壊させることがあります。計画的な借り入れをしましょう」などとなるのだろうか?成熟した、または健全な大人がいない国 にっぽん。少子化が進んでいると世間は言うが見渡せば子供ばかりのように見えるのは僕だけだろうか?話は少しわき道に逸れるが公園の芝生に設けられた「芝生の中に入らないで下さい」というたて看板。芝養生中でなくても一年中立っている。芝生は見るものでそこに寝転んだり座ったりするものではないということだろうか?。子供の遊び場として開放してもいいのになと思うのだが・・・。