失または亡

今年も残すところあと20日。世の中も自らの生活でも今年は失ったものが多かった一年だった。1月に愛猫を亡くし、9月には叔母と愛猫を亡くした。一年を象徴する漢字で表すと残念ながら「失」や「亡」という後ろ向きな文字になってしまう。著名人でも筑紫哲也遠藤実、緒方拳といった馴染み深い人々が彼岸に行った。僕の時代劇のお気に入りは「鬼平犯科帳」「必殺仕事人」(それも初期のもので緒方拳、山村総、中村玉緒など仕事人が少人数だった頃)若い頃の緒方拳扮する藤枝梅庵は痩せていて目だけがギラギラしていてまさにアウトローの塊だった。シリーズはヒットして徐々に人情話や勧善懲悪的な色彩が濃くなってそれが鼻につくようになった。「必殺シリーズ」は大方見たつもりだが、やはり初期に限る気がする。筑紫氏は最後のニュース23の多事争論で「政治は難しくない。平たく言えばひとつのパイをどう配分するのかということだ。子供に厚めなのか、働き盛りに厚くするのか、お年寄りになのか。だが、今の政治はそれらのどこにも配分していない」といった内容のことを自身の癌という病に重ねて話した。彼の話はいつも分かりやすいだけでなく、ぶれない芯の強さと良心があったと思う。  合掌