ブレーキ

石川県で空からオタマジャクシやフナの稚魚が降ってきたとニュースで聞いた。今日のTBSラジオの午前中の番組内でもその話題は取り上げられていた。その番組は報道ではなくバラエティ番組ではあるが、男女のアナウンサーが笑いを交えてこの話をしているのが妙に気になった。事の真相ははっきりしていないとはいえ恐らくは心無い人間の悪戯なのだろう。事件の起こった日の彼の地の気象では竜巻や強風などは認められていない。最初の現場ではおよそ100坪弱の範囲にオタマジャクシが散乱していたという。気象予報士の森田さんの話によれば上空からこのような狭い範囲にピンポイントで降ってくるということはまず考え難いとコメントしていた。その後同県内では同様の事件が相次いでいる。模倣犯の仕業であろう。犬や猫が大量に捨てられていればテレビやラジオではしたり顔をした局アナやコメンテーターが憤慨した様子でもっともらしいことを言うが、オタマジャクシやフナでは違う対応であった。僕だけではないだろうが、こういった陰湿な話を耳にすると気が滅入る。子供の頃僕もオタマジャクシを獲ったことがある。バケツに入った沢山のオタマジャクシを自宅の池に放したら先住民である鯉に食べられてしまった。別の水槽に入れていたものもカエルになる前に死んで全滅してしまった。罪なことである。だが石川県の悪戯は根っこのところが子供特有のそういった失敗とは異なるのではないだろうか。決して自己弁護をするつもりで言っているのではない。誰かを驚かせたいという気持ちは理解出来なくもない。然し、水の中で生きているものを陸に上げ、ばら撒き放置するということに僅かでも心にブレーキがかからないのがひどく悲しい。