黄桃

6月19日は太宰の命日。今年は生誕?没後?100年に当たるようで各方面でさかんに喧伝されているので僕は違うオウトウの話。今では色々な果物を食べることが出来るが、子供の頃はリンゴ、バナナ、みかんなどが主な果物で桃などは缶詰でしか食べた記憶がない。それもよっぽど体の具合が悪く多少親に甘えることが許されるような時に限定されていたような気がする。そんな訳だから缶詰も普段使いに買い置きしてあったなどということはなく、大概はお中元だのお歳暮だのといった貰いモノである。人間体の具合が悪い時なぞは何を食っても美味いなどとは感じ難い筈なのだが、僕にとって黄桃だけは別格で今でもあの頃の味が忘れられないでいる。つるんとした食感と甘さはその後の食べ物に対する僕の傾向の土台になったんではないかと大袈裟に考えてしまう。同じ桃でも白桃は僕の場合黄桃の対極に位置する。生食の場合のあの頼りのない食感がいけない。いつか缶詰でない黄桃を食べてみたいものだと考えているのだがなかなかお目にかかれない。黄桃は缶詰しかないんじゃないかと思ったら最近では生食用も出回っているようだ。お盆の頃には店頭にも並ぶことだろう。今日のところは黄桃の缶詰で我慢しよう。今日は桜桃忌。