人種によつての比較調査をしたわけではないが、日本人は音に対して鈍感なのではないかと思はれる。駅のアナウンス、信号機、店先からガンガン溢れる宣伝文句など例を挙げればきりがなゐ。注意や興味を喚起させる目的なのだらうがどれも美しくはなゐ。急かされるやうな気分にはなつてもうつとり聞き入つた経験は皆無である。個人のレベルでも事情は同じである。例えば携帯電話。着信音は自分の気に入つた音楽だからとまだ許せる。だが最近では呼び出してゐる間まで曲にする人も少なくない。電話をかけた方は知りもしない、聞きたくもない音楽を相手が出るまで延々と聴かされる。流石にこれには閉口する。車やオートバイ(主にスクーター・タイプが多いやうだ)に大きなアンプやスピーカーを搭載し大音響で走る輩達も困つたものである。大きな音で音楽を楽しみたい気持ちは僕も若い頃経験があつたので理解出来る。だがそれならば何も窓を開けて走る必要はあるまい。人に聴かせたいくらひ本人は気に入つてるのかもしれないが他人から見れば迷惑この上ない騒音である。暑苦しい夏がなほいつさう彼らのアンプで増幅される。