余計なお世話

余計なお世話といふ言葉がある。人からされることもあるし、自分がすることもある。今日は僕がしてしまつた余計なお世話の話。被害者は去年から我が家に住み始めたカエルである。昨日の朝は沙羅の木の天辺にへばりつきじつとしてゐた。そこへアマガエルだからさぞや水が好きだらうと勝手な思い込みで随分と水をかけてやつた。加へてカエルのために用意した水鉢に水を入れて置いた。この鉢にいずれ蓮(花の時期は終はつてしまつたが)でも入れてやらうとの目論見で買つたものである。かうなると何事も形から入る僕のこと、より良い住環境を与へてやらうとカエルについてネツトで調べることになる。だが飼育箱(子供の頃カブトムシやザリガニを入れたプラスチツクの容器)を使つた飼い方ばかりである。考へてみれば当然の話で庭に居るカエルは飼つているとは言はないのだらう。広さや植へてある草木に不満はあるかもしれないが、それでもそこで適応出来るから居るのである。多少の過不足はあつてもカエルにとつて想定された誤差の範囲なのだ。だから僕のすべき事は特にないのである。ましてやカエルに水を掛けてやるなど余計なお世話で逆に良くないことなのださうだ。彼らは必要な水分は木や草花から補給するのである。さて、せつかく膨らんだカエル熱がこれで一気に冷めてしまつたのかといふとさにあらず。僕はこんな事ではめげないのである。目先を変へて僕に出来てカエルに出来ない事はなにか?婚活である。我が家のカエルはこれで単身二年目である。ここへ来た経緯は分からないが、現況は一人無人島に流されてしまつたやうなものである。彼が雄なのか雌なのかは判然としないが彼でも彼女でも必要なのではないか?さうだ、さうだ、さうに違ひない!さう思つた僕は近々にアマガエルを何処かから調達する予定である。だが、危惧されるのは用意した別のカエルが気に入らないとか、実は我が家のカエルが一人になりたくて無人島暮らしを選んだ場合である。もしかしたら僕はまた余計なお世話をしてしまふのかも知れない。