土をかけない犬!

世の中には面白い事に気付く人が居るものである。テレビ・ドラマ「相棒」の中で主役の杉下右京(水谷豊)が紅茶を入れるシーンがある。左手でソーサーを持ち、右手のポツトを高い位置に持ち注ぎ入れるのだが、ある人がこの場面に疑問を持つたのである。カツプに注がれる時の音が熱い湯ではないと言ふのだ。常温の水と高温になつた時とでは音に違ひがあるらしい。テレビを見ながら随分と細かい事に気が付くものだなあ、と感心した。きつと注意力も素晴らしい人なのだらう。僕は生まれてこの歳までずうつとぼおとして過ごしてきたが、それでもたまには何かの拍子で気付くことがある。僕の発見したのは犬のトイレである。犬も歩けば棒に当たるではなく、石を投げれば犬に当たるほど犬を散歩する人は多い。結構マナーもきちんとしてをりトイレ後の後始末もきちんとやつて行く。勿論人がやるのである。犬はトイレをした後何もせず、人が片付けるのを待つ。問題はここである。昔の犬は後ろ足で土をかけて必死に糞を隠さうとしたものである。ところが最近の犬ときたらそんなことはまるでやらない。まるでさういつた習性が抜け落ちてしまつたかのやうである。かく言ふ僕の愛犬ノコも未だかつてそんなことは一度たりともしたことがなく、素振りも見せたことがない。土の道がアスフアルトに変はり、犬も土をかけたくとも土がなく気の毒な気もする。だがこんな状況が何代も続くと犬のDNAからこの行為がすつかり抜け落ちてしまふものなのだらうか。不思議である。これが僕の最近の発見である。