プロ野球の開幕をめぐつて

プロ野球の開幕日をめぐつてセ・パの同日開催が決まつたが、そこに行き着くまで特にセ・リーグでは紆余曲折があつた。こんな時だもらこそやるべきといふ意見と自粛すべきといふ意見はどちらもそれぞれ正当性があり判断は難しい。僕自身は野球は好きだし贔屓のチームの勝ち負けは毎年気になるところだが今まで野球から元気をもらつたと感じたことは一度もない。だから普段通りに野球をやつて元気を届けるといつた理由は僕にとつてはクエスチオンが付く。だが、出来れば当初の予定通りの開催をして欲しかつたとは思ふ。被災地の方々には申し訳ないが、被害の少なかつた東京近郊でも心理的な混乱は未だに収まらない。無用な買占め、ガソリン不足、それに追ひ討ちをかけるやうに今度は放射能である。輪番停電もいつ解消されるか目処がつかず、それらが人の気持ちを更にいらいらさせたり、不安にさせたりしてゐる。こんな時に野球なんてとんでもない、といふのも判らないではないが人には捌け口や娯楽といふものも必要だらう。それぞれの職業の人が自分の仕事をするのは悪いことではないと思ふ。野球選手は野球をするのが仕事である。生活の中でほんのひと時震災のことを考へずに済む時間があつてもいいではないか。