草食系男子

7月に入ってからひどい風邪をひいてしまった。だいぶ良くなってきたとはいうものの今でも咳が止まらず本人よりも周囲の人を不愉快にさせてしまっている。夏風邪はしつこいと聞くがまさにその通りで売薬から始まり病院を2件廻って処方してもらった薬を飲み続けて2週間になる。何もまともなことが出来ずに無駄な時間を過ごしてしまったことが悔やまれる。そんな中で唯一得た思索らしいものがある。草食系男子についてである。巷間言われている草食系男子の定義は分からないがニュアンスは何となく分かる。先ずこういった男子は遠い昔から生息していたのか、或いは最近出てきた新種なのか。新種だとしたら何故出現し、流行語になるまでの個体数を得たのかを考えてみた。問題は家、つまり家族の中にあるように思う。社会の最小単位である家族の中で子の序列が大きく変化したのが原因ではないだろうか。子の上位にあるべき筈の父母の地位の逆転現象。親が子のためにと考えるのは何も今に始まったことではない。だが消費、生活、各家庭内での決まり事といったものがすべからく子中心となってはいまいか。それが当然の如く営々と続けられ子は父親との葛藤という時期を持たないで大人になってしまっている気がしてならない。高みにあるが故に父親に挑もうとするのが子の成長期に必要なのであるが、最初から同位置にあれば挑む必要はないだろう。超えるべきハードルが存在しないのだ。知識も経験も親と比較すれば圧倒的に少ない子の挑戦は時に意味不明であったり、理屈が通らなかったりするものだ。単に抑えがたいエネルギーに任せた暴挙とも言える。だが、これは生物として必要な事なのではないか。勝ち負けはあまり意味のないことだろうが、自分勝手に勝ったつもりになったり、正論が通らず挫折を感じたりするという経験そのものに意味があると思う。家庭という小さな集団の中で練習しながら獲得されるべき男性というものがある筈である。草食系と呼ばれる現代の男子にはそういった経験がないのではないか。熱でぼんやりしている頭でふとそんな事を考えてみた。