舵なき会社は何処へ行く

先日、パナソニツクがゲームの開発に乗り出すといふ報道があつた。仕事や事業が綺麗事ばかりで成り立つと信じるほど僕も若くはない。とりわけあれだけの大会社を存続、成長させていくのだから尚更だらうとは思ふ。だが、パナは松下幸之助の経営哲学を守つて人の生活の役に立つものだけを提供してきた会社だつた。時には他社の製品の後追ひばかりをする真似下と揶揄されたりもした。確かにそんなこともあつたが、松下の製品は安全性、耐久性などの面で他社の追随を許さなかつたと思ふ。そんな会社がまさかのゲーム開発である。松下、ナショナル、パナソニックと社名を変更したまでは仕方ない。だが今まで守つてきた創業者の松下翁の経営哲学まで社名変更と共に捨ててしまつたのだとしたら淋しいことである。哲学とか商精神とは経営にとつて舵である。舵をなくした会社は何処へ向かふのだらうか。