司法試験の問題を教へ子に漏らしたとして、考査委員の大学教授が刑事告発されるらしい。教授は男性で教へてもらつた子は女性である。二人の間に何があつたのか、なかつたのかは知らぬ。それでも少なくとも教授は女性に対する好意があつたのだらうとは
思ふ。役所は司法試験の信頼を根底から揺るがす蛮行と怒り心頭のご様子だが、僕はこんな話を見聞きするとほつとしてしまふ。地位も名誉もあるいい年の男が女にとち狂つて身を滅ぼすなんて実に人間的ではないか。世間様に言はせればバカな奴と一蹴されてしまふのだらうが僕はこんな話、好きだなあ。好きなことをして責任を取る。実に単純明快で宜しい。世の中には悪気も過失もないのに命を奪はれたりなんて話がごまんとある。反対に悪意をもつて理がないことを力で押しつけ、責任を問へば『責任は選んだ皆さんにあります』と居直る輩ばかり。それに比べりやこんな話ええぢやなか、ええぢやないか、と思ふのだ。
