ヘボ将棋


今の政治を俯瞰するとヘボ同士の将棋の対局のやうに見える。それもただのヘボではない。自分の差す番になつても何をしたらいいのか分からず、とりあえず歩でも動かしとこか、といつたレベルである。何をしたらいいのかに加へて何をしたいのかも分からない様子である。だからトンチンカンなことばかりやつてゐるやうに見へてしまふ。対局を見守るギヤラリーの視線だけは多少気になるらしいのだが、レベルが低すぎて打つべき手を打たず、動かさすべきでない駒を動かし、それでもさも奥の手がありさうな顔をし実はまるで腹案などない。見てゐた人々もさすがにつまらなくなつて一人抜け、二人抜けと去つて行つてしまつた。
寒風吹きすさぶ中、将棋を差す人も寒いだらうが、見てゐた人はもつと寒い思ひをした。