生きるため?食べるため?

確か小学生の高学年の頃だったと思う。「人は食うために生きるのか?生きるために食うのか?」といったことをクラスで考えたことがあったと記憶している。結果は生きるために食うが食うために生きるより圧倒的に優位だった。幼い僕らの思考では「食うために生きる」は動物と同じだと結論付けたのだ。それから何十年と生きてきたがその件についてはさして考え直す機会がなかった。「食っていかなきゃならない」という台詞はその何十年の間に何回となく聞いた。勿論「食っていかなきゃならない」は「生活していかなければ」「生きていかなければ」の意味であることは承知している。だが、最近の僕は「生きるために食う」よりも「食うために生きる」の方が自分の中で優位にあるのだ。それには人生の折り返しを過ぎたことや、若い時のように質よりも量を必要としなくなったことなども要因としてあるし自分が贅沢になったこともあるだろう。「若いときのように質よりも〜」と前述したが、今から振り返って考えると質が伴わなかったから量に走ったような気がしないでもないのだ。何れにしても僕は食っても食ってもすぐに空腹を感じるような年代ではなくなった。特別高価な食べ物は今もこれからもそうそう口には出来ないだろうし、
食べたいとも思わない。食事を共に過ごす仲間や時間といったものが食べ物の質を極上のものにしてくれる。今では食べることが生きることと同列と感じる。