写真のスタイル


写真を撮るという行為をする時に「何を撮るか」ではなく「どう撮るか」が重要だという言い方がある。確かにそれはそれで一理ある。だが、報道写真やスポーツなどの動きの激しい被写体の場合はどう撮るかよりも何を撮るかが優先されることもある。勿論両方の要素を満たすことが出来るのが一番望ましいことは言うまでもない。また「写真は引算だ」という言い方もある。ファインダーの中に在るものの何を削ってテーマとなるものを引き立てるかということを意味する。実際、風景写真などでは引算が多い。だが街中のスナップなどでは逆に足算が重要だと僕は考える。街中の建物や通りを撮っても絵になる場所はあるが、そこに人だったりネコだったりがいいタイミングで歩いてくれたり、立ち止まってくれたりしたらドラマ性が生まれる場合がある。(勿論いらない人が通り過ぎるのを待つこともあるのだが)自分のイメージ通りの人が都合良くその場に居合わせてくれることなんて殆ど有り得ない。だから風景の中に入り込んでくる何かを僕は待つ。あれもこれもと追いかけていたら結局何も得ることが出来ない。表現は悪いが蜘蛛のように巣を張り巡らせて待つことも写真の撮り方のスタイルなんだと思う。