言葉の力

昔から口は災いの元などと言ひます。考へもなしにうつかり喋つてしまつたことにより不利な立場になつたり、責任を負はされたりする羽目になつたり。言ひ出しつぺなんてものもその一つかも知れません。ある目的の為に幾人かが集まります。リーダーを決めやうじやないか、などと提案したものの誰もやりたがらず、結局言ひ出した本人がその役目を仰せつかつてしまふ。その時の選ばれた理由といふのが言ひ出しつぺといふもの。言葉には力があります。その対価として責任が生じるものです。権利と義務みたいなものです。ところが、昨今では(特に政治屋さんや役人さん)の言葉は実に軽くなつてしまつた。では彼等の言葉に力が無くなつたのかと言へばさうではない。力はそのままに責任だけは取らうとしない。非常に質が悪ひ話です。以前公約と言つてゐたのが今は横文字になりました。カタカナになつたことで更に約束は守られなくなつた気がします。公約は口約になり下がつたやうです。民法では口約束でも契約は成立する場合があるのですが、やはり政治の世界は治外法権のやうです。