商道徳

随分前からヤフオクに参加してゐる。買ふばかりでなく売りもする。出品物は大概自分が精通したものばかりだ。カメラだつたり、時計だつたり、自転車のパーツだつたり。売る場合はかなり神経を使ふ。趣味性の高いものばかりだから機能はもちろんのこと、キズやスレなどの商品価値を下げるポイントは正確に説明文に載せる。自分の商品に対して売主の目よりも更に厳しいコレクターの目で評価するやうにしてゐる。実際に商品を手にして買ふ、買はないと決められないのがこの世界。厳し過ぎる方が後々のトラブルにならない。それでも時々非常識な輩に出会ふことがある。一年以上経つてから「そちらから買つたレンズにカビがあつた。ドライ・キヤビで保管してゐたので買つてからのカビではない。最初からだ」などと平気で言つて来たことがあつた。こんな落札者は二度と僕のオークシヨンに参加出来ないやうにブラツク・リストに入れる。落札したものの連絡が取れずに商談が成立しないこともある。特に新規の入札者は要注意でイタズラしてくる。一体そんなことをして何が愉快なのか理解出来ないが実際に多い。出品者にも悪質な奴は居る。商品の状態を明記せず、動作するのかしないのかも確認せずに出品する人がかなり多い。そんな奴らは「知識がない」「専門ではないので」などと言ひ訳し、ジヤンク扱ひなので3N(ノー・リターン・ノー・クレーム・ノー・サポート)でお願ひしますと釘を刺す。知識がなく、動作確認もしないものにそこそこのスタート価格を付けて出品するのは何が根拠になつてゐるのかと首を傾げたくなる。1円から鉄砲で(なりゆきでの意味)最悪1円で落札されても取引するのならばまだ可愛気があるのだが。何の努力も研鑽も積まず、モノに対する愛情もなしに右から左のやり方は商ひではない。