賃金は低く、ハードルは高く!

 残業代を支払はなくて済む「成果主義」について。
 この「成果」が実に不可解だ。成果を労使の話し合ひによつて決めるなどあり得ないだらう。使用者の匙加減でノルマを課すことになる。要らない社員には高いハードルが用意される。躓く、転ぶ、ノルマ達成ならず。
 ケチな経営者はいかにして社員に払ふ賃金を少なくするか
考へた。働き手は自分を含め四人。一人クビにして三人でやりくりしたら一人分の賃金が浮く。思惑通りになつた。もつと節約出来る筈だ。あと一人クビにして二人で四人分の仕事をこなすのだ。忙しくなつたが支払ふ給料は半分になつた。忙しさも慣れてきたぞ。一人ですべてやつたら他人に給料を支払はずとも済むぞ。残つた一人も解雇だ。まだ節約出来るぞ。俺も辞めさせるか。俺は、経営者だ。俺が俺を辞めさせることなぞ出来るのか。出来るものか。死んだら仕方ないか。うむ、死んでみるか。これで誰にも給料を払ふことがないぞ!