富の分布図


僕の職場近くの駅周辺でもシャッターを降ろしたままの店が目立つ。不況の理由は何もサブ・プライム・ローン問題だけでなく、そんな問題が発覚する前から街の商店は姿を消しつつあった。人口の減少や高齢化など様々な不景気の要因はあるのだろうが、僕はその一つとしてお金の分布を挙げたい。「バカの壁」の著者である養老先生は、子供だったか学生だったかの頃、貯金をするのは悪いことだと考えていた時期があるという。理由は「お金は世の中に必要な分しかないのだから、自分が貯金をするとその分必要な人にお金が廻らない」と思ったらしい。今の状況を考えると子供の戯言とは決して思えない。真理ではないか。大金を持つ人は個人の努力の結果という側面も否定はしないが、使いきれないほどの富を少数の人間が持ち、その他の大多数の人達が余ったパンを分け合うという構図はどうなのだろうか?「座って半畳、寝て一畳」という言葉があるが、所詮人間は偉かろうがそうでなかろうが、人が一人生きていくのに必要なものなど高が知れている。大食漢であっても大酒飲みであっても腹に収まる量はそれほど違いはなかろう。だが、金だけは放っておいても腐りもせず、原則価値も変わらず、邪魔にはならない。だからいくらあっても困ることはないのは分かる。だが、沢山の消費者と労働者が生み出した糧を独り占めせずにもっと分配してもいいのではないか。困窮した民はますます自衛し消費は冷え込むと思うのだが・・・。