模型と食事

JR西日本の社長や幹部が福知山線の事故を調査する立場の人間に接触し、調査結果の発表前に情報を得ていたことが発覚した。JRの社長は情報を漏らしてくれた見返りに鉄道マニアのその者に非売品の模型を進呈したという。幹部は食事の接待を繰り返していたらしい。前者は報告書に手心を加えるように要請したとも言われている。後者の言い訳は少しでも速く問題点を把握し、改善に生かしたかったという空々しい答弁。事故を調査する側もされる側も共にJR出身であった。表ではさも神妙そうな顔をしながら謝罪会見をし、裏ではこういった工作をしている彼等の守りたいものは乗客の安全輸送ではなく自らの保身だったことが明らかになった。情報を与えた側の人間はルール、良心、責務を模型や食事と引き換えてしまうくらい心根の貧しい人間だった。あの事故で亡くなった方、またその遺族、怪我を負った方達の気持ちはいつまでも癒えない。それどころかこの件で更に傷ついたに違いない。