筍の季節である。先月実家から送られてきた今年の第一弾は煮て若布と合えて食した。仕事場の近くの寿司やで焼き筍を出されたことがある。皮がついたまま縦半分に切り、表面に賽の目の細工をし、そこに醤油をつけて焼く。筍本来の味が口の中で広がる食べ方である。定番の筍ご飯、ちらし寿司などもいい。細切りにして油で炒め、カレー味も旨い。変り種では天ぷらなんてものもある。春の恵みであるこの筍、実は今問題になつてゐるらしい。放置されたままの竹林が環境を破壊してゐるらしい。竹製品の需要が少なくなつたこと、輸入物の筍が増えたことなどが原因で竹林に手を入れなくなつた。確かにそこかしこに竹林はあり、奥のほうは陽の入らぬくらひ茂つてゐる。そこでこれをなんとかすべく新しい竹の利用法を考えた人がゐる。竹を機械にかけ、繊維を綿のように加工するといふ。この繊維を使つてオムツや生理用品の吸収体に混ぜ込む。竹は抗菌作用があるので適してゐる。使用後に償却しても天然のものなのでさほど有害な物質を出さない。コストも比較的安いといふ。いい事尽くめである。利用すれば新しい価値を生んでくれる自然の恵み。食べるだけでは勿体無い。